ギター弾きを笑え!! 

~Fが弾けませんが、それが何か?~

「somewhere not here(ここではないどこか)」を読んで

 

最近、ウェブ小説が文庫化された作品を読んだ。

タイトルは、<somewher not  here(ここではないどこか)>

 なぜか、このタイトルにひどく魅かれて手にとった。

 

 

生まれ持った精神的な性質が原因で、

この現実社会とうまくつながれない少女と、

まるで保護者のように、いつもそばで彼女をささえ続けた幼馴染の少年の物語。

 

少女は絵を描くことで、現実生活に適応できない今の自分から脱却しようとする。

そして皮肉なことに、少年もまた絵を描くことに夢中になってゆく。

お互いがお互いの才能に嫉妬しながら、決して理解し合えない世界観を

持っていることだけを理解しあう。

少女は、少年に対する淡い恋心とともに少年の描く明るく健康的で美しい世界に

あこがれ、

少年は、少女の描く、苦しみと悲しみが凝縮されたような凄まじい絵に

圧倒され、自分には決して描けない世界だと思う。

 

どちらかが絵を描くことに興味も才能もなかったならば、

二人の関係はもっと穏やかであっただろう。

 

 

 

以下はネタバレになってしまうが、ご容赦あれ。

 

高校三年の時、少女は学校の階段を踏み外して

転落死する。

摂食障害におちいり、痩せこけていた少女がうっかり足を踏み外した

事故死だと結論づけられた。

彼女の死後、彼女が描いた一枚の絵が彼女の両親から少年に

手わたされた。

描くたびに自分の作品をことごとく破り捨ててきた彼女が、

たった一枚残したものだった。

 

暗闇の中で何かを掴もうとするかようにのばされた

一本の腕が描かれていた。

しかしその手のひらには、実物の釘が打ちこまれていた・・・。

絵には、<somewhere not here(ここではないどこか)>

というトタイトルがつけられていた。

 

 

少年は成長して、大学で絵画を教える教授として働きつつ

画家としても活動することになる。

そして自分の個展の会場に、彼女が描いたあの腕の絵を持ち込み、

いつかこの絵を展示したいと思うのだった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

うーーん、長々とあらすじを書いてしまった。

そのわりにはうまく要約できてない気もするが(汗

 

彼女の、自分ではどうしようもない生き辛さ。

まわりの人間とうまくかかわれない、この現実世界に対する

根本的違和感。

自分はどこかおかしい、他の人とは違うというその思い。

まだ彼女が幼いころ、七夕の笹かざりの短冊に、

 

「ちゃんと生きられますように」

 

と書いたというエピソードがでてくるのだが、

その時の彼女の気持ちが私にはよくわかるのだ。

ほんとによくわかるのだ。

私も彼女と同じタイプの人間だから。

ただ私は、彼女ほどわかりやすくおかしいわけではないというだけのことだ。

 

私は、ちゃんと生きているんだろうか・・?

たぶんそうではない。

いい歳をして、頼まれもしないのに自分で作詞作曲をして

へたくそなギターを弾き、歌をうたいCDなんかつくってるやつなんだから。

自分の頭の中にあるものをこの三次元空間のなかに、

音として聴こえるかたちで表現したいというただそれだけの理由

で、世に出す方法もわからないまま何枚かCDをつくってきた。

 

 私、という人間はこんな世界を見ながら生きています、

私、という人間にはこの世界はこんなふうに見えているのです、

だれか、だれか、私の見ている世界とおなじ世界を見つめている人はいませんか・・。

 そうよだよねー、わかるなー、とだれかうなづいてはくれませんか・・・。

そう思うのだ。

 

 

私は思春期に死ぬこともなく生き辛さを抱えたまま、大人になり、オバサンになった。

 

防弾チョッキのかわりに、弾よけのギターをかかえて、

飲みこみ続けてきた言葉たちを音にのせる。

本音なんかじゃありません、ほんの作り話しです、聞き流してやってくださいと、

言い訳のポーズをとりながら歌っている。

こんなやつなんて、ろくなもんじゃない、ほんとにろくなもんじゃない。

 

 

 

somewhere not here,ここではないどこか、

私も、彼女とおなじように、ここではないどこか、自分が自分のままで

楽に息ができる場所、そんな場所に行きたいと

いつもいつも思ってきた気がする。

 

15年ちかくもあきもせずギターを弾いてきたのは、

もしかしたら音楽のなかにそんな場所が見つかるんじゃないかと、

いつからかそう思いはじめたからかもしれない。

 でもいまだに、安心して居られる場所は音楽のなかには見つからない。

 

 

今のところ、私の見ている世界とおなじ世界を見ている人には

出会ってはいない気がする。

けれど、もともと人は一人一人が自分だけのマトリックス世界に住んで

いて、厳密な意味では決してだれかと同じ世界には住めないのかもしれない。

 

 

<ちゃんと生きられますように>

 

 

私もそう願いながら、ちゃんと生きられずに終わる気がする。

まあ、それもまた人生か・・・。

なんだかんだ言いつつ、 もうすぐ還暦だ。

 私はいつまで音楽をやり続けるんだろうか・・・。

 

 

なんか、今回は少しシリアスになりすぎたかな(汗